衆院で7日午後、郡和子議員が民進党・無所属クラブを代表して雇用保険法等の一部を改正する法律案について本会議質問に立った。
雇用保険法について郡議員は、昨年の通常国会での改正を含め、平成に入り14回もの改正を行っていると指摘。さらにその改正内容に本年1月1日施行のものも含まれていることから、「施行まもなく、再び法改正をすれば国民生活に混乱が生じるおそれもある。現場に混乱が生じないよう慎重かつ適切な対応を求める」と政府に迫った。
本改正案で倒産・解雇等による離職者への失業給付の所定給付日数の一部拡充等、雇用のセーフティーネットを拡大する内容が盛り込まれたことについては「一歩前進と考える」と評価。しかし、給付の拡充を倒産・解雇による離職者の一部に限定するとともに、雇い止め離職者への対応を暫定措置等にとどめたことを問題視し、「なぜ今、セーフティーネットである本体給付の恒久化を先送りしたのか」と塩崎厚生労働大臣に答弁を求めた。厚労相は、「近年雇止めによる離職者が減少傾向にあるものの、非正規で働く方が増加傾向にあることを踏まえ暫定措置として今後の推移を見守る」と恒久化に消極的な姿勢を示した。
育児休業に係る制度の見直しに関連して、安倍総理が「女性活躍」を連呼し続けている一方で、2017年度末までに待機児童をゼロにする約束は事実上ほごにし、6月に新たな「待機児童解消プラン」を決定する、と報じられた問題を取り上げ、「出来ない事にまずおわびをするべきだ。やるふりだけを見せられてもママたちの不安は収まらない」と口先だけの対応を厳しく批判した。
今回、育児休業期間の最長2年への延長を可能とすることについては、以前安倍総理が打ち出したものの批判を浴びて引っ込めるしかなかった「3年間抱っこし放題」と、どこがどう違うのか、「どちらも女性を家庭に押し込める政策ではないか」とただした。厚労相は、育児休業や短時間勤務を取りやすい職場環境にして欲しいと経済界に要請したのが「3年間抱っこし放題」で、2才までの育児休業に加えてより柔軟に育児休業をとれるようにするのが本改正案だと説明した。
男性の育休取得率が2.65%と極めて低迷した状況にある中、政府が男性の取得率を、2020年までに13%にする目標を立てているにもかかわらず、本法案で男性の育児参加促進策が努力義務でしかないと指摘。「これは政府が2020年までの目標を降ろすということなのか。そうでないのであれば、諸外国の例にならい、『パパ・クオータ制』等男性の育児休業取得促進に向けた抜本施策を盛り込むべきだ」と提案した。
郡議員はこのほか、自己都合離職者等の給付水準の引き上げ、失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率の時限的引き下げ、職業紹介に関する制度の改正等についてただした。最後に、本法案が雇い止めや子育てで仕事を辞めざるを得ない労働者、悪質な雇い主の元を離れて新しい仕事にチャレンジしようとする人など、さまざまな当事者の声に真摯(しんし)に向き合い、徹底した審議を行うことの重要性を強調し、本改正案に対する質問を終えた。