「『現代用語の基礎知識』選・2016ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞とトップ10が1日発表され、トップテンに入った受賞語「保育園落ちた日本死ね」の受賞者として山尾志桜里衆院議員が発表・表彰式に出席。「2万7682人の女性たちに代わってこの賞を受け取らせていただきたい」と受賞の喜びとともに、「これからは新語・流行語から死語になるように頑張っていく」と待機児童問題の解消に向けてのさらなる取り組みへ決意を述べた。
「保育園落ちた日本死ね」は、今年2月中旬、子どもが保育園に入れなかった母親がインターネット上でその憤りをつづったブログのタイトル。山尾議員はこのブログを国会で取り上げ、政府、国民にあらためて待機児童問題を喚起したとして今回の受賞となった。
受賞に際し山尾衆院議員は、「私がこの賞を受け取っていいのかとてもためらっているのですが、『保育園落ちた日本死ね』という声を上げた名もない一人のお母さんと、こうした鋭い言葉を『保育園落ちたの私と私の仲間だ』と優しい言葉でくるんで、それを後押ししてくれた2万7682人の女性たちに代わってこの賞を受け取らせていただきたいと思う。本当にありがとうございました」と謝意を表明。山尾議員の質問に対し安倍総理総理が「匿名なので起こっていることを確認しようがない」などと発言したことから、ネット上では瞬く間に怒りの声が拡散、入所できる保育施設を探す「保活」中の母親や子育て経験者、保育士を志望する男性などが「だったら私たちが名前を名乗るよ」とその後わずか1週間で保育制度の充実を求める2万7682人の署名が集まり、この署名をその母親らと一緒に政府に手渡した。山尾議員は当時を「奇跡のようなことだと思っている」と振り返り、「そこから、みんなの力でこの待機児童問題を政治課題の隅っこからど真ん中に、場所移動することができた。ここからは、またみんなでシェアしながら解決するときだと思っている。私はたまたま国会議員なので質問するという役割を担わせてもらったが、できる人ができることをできる限り取り組むことでつながり、女性たちの柔らかいアクションが政治、社会を動かしていく一つの大きなきっかけになればいいなと思っている」と述べた。
山尾衆院議員は式終了後、「一人のお母さんと、それを応援する2万7千人を超える女性たちの代わりに受け取らせていただいたという感じ。今日は流行語大賞の受賞だったが、これが早く死語になるように頑張らないといけないと思う。野党と市民が同じ方向を向いたときに思いもかけない力が出るという一つの象徴なのかなという気がする」とコメント。「(ブログでコメントした)お母さんも、私も質問に立つときまさかこんなできごとの始まりになるとは思っていなかったが、偶然の積み重ねが1週間で大きな力になった。うれしかったのは、ネガティブな言葉も飛び交うインターネットの世界で、大変さをシェアしながらも前向きなネットの力が発揮されたのもよかった。今年のはじめにアクションがスタートして、12月にもう一度スポットライトが当たったのはうれしいし」と語った。
年間大賞には、プロ野球、セ・リーグで25年ぶりにリーグ優勝を果たした広島の選手の活躍ぶりを象徴する「神ってる」が選ばれ、表彰式に出席した鈴木誠也選手は「本当にうれしい。優勝した年に受賞したことは一生忘れない」と喜びを語った。