蓮舫代表は18日、広島県を訪れ、廿日市市友田の前川農園、広島市安佐南区の「じゃがいも農園」を訪れ、女性の視点を活かした農業の新たな可能性などについて懇談。必要な支援策などについて意見を交わし、現場の声を受け止めた。今回の農園視察は、次の世代のための政治課題を探る「FOR NEXT」キャンペーンの第4弾。県連代表の森本真治参院議員、同幹事長の福知基弘県議、同副代表の松本大輔広島県第2区総支部長、広畑裕一郎廿日市市議が同行した。
■前川農園(廿日市市友田)
父親の畑を守ろうと、4年前にアパレル業、保育士からそれぞれ「農業女子」に転身した前川すずみさん、池田淳子さんの2人姉妹が営む前川農園では、1ヘクタールの田畑でコメやニンジン、トウガラシなど29品種を育て、産直市やスーパーなどに納品。生産・加工・販売と6次産業化に取り組み、食品メーカーとの連携事業も広げている。
2014年には農林水産省が取り組む「農業女子プロジェクト」(※)に県内で初めて参加し、女性が農業をする環境の改善や、より良い道具などの開発にも協力。「田んぼに入ったときに脱げない」「おしゃれでないとやりたくない」と感じた前川さんは、前職の経験を活かして県内のメーカーなどと組んで女性農業者向けの長靴を商品化、グッドデザイン賞も受賞した。「行動力とアイディアがあるのは女性」と断言し、仲間とともに女性が農業を楽しくできるようさまざまな取り組みを進めているという彼女に、蓮舫代表は「付加価値をつけないと楽しくないよね」と共感し、エールを送った。
懇談には、女性農業者仲間も参加。蓮舫代表は、「こんなのがあったらいいな」という思いをさまざまな知恵やネットワークを活かしながら着実に実現していく「農業女子」たちの話に熱心に耳を傾けた。前川さんは、小規模農家であるがゆえ、大量生産で安い価格に慣れている消費者からは「高い」と言われてしまうと悩みを打ち明ける一方、「生産者の顔が見える野菜の付加価値を分かってくれる人も多い」と充実感をにじませる。「農業をやる人が減ったのは農業がもうからないから。農業をもうかる仕事にしていくために動いていく。やってくれないと人に任せるのではなくまずは自分が動く」と未来を見据えた。
■じゃがいも農園(広島市安佐南区長楽寺)
株式会社「やさい畑」が運営する、障害者就労支援事業所「じゃがいも農園」では、無農薬野菜を作って販売。蓮舫代表は、「じゃがいも農園」で働く障害者、放課後等デイサービス「じゃがいもの学校」に通う子どもらとともにキャベツ刈り、白菜刈りを体験した。施設責任者の原田美香さんは現場で働く立場から「障害者が働くことへの支援と、その支援を行う人たちへの支援をもっと充実させてほしい」と要望。蓮舫代表は「まったく同じ思いだ」と応じ、党として取り組んでいく考えを示した。
■街頭演説(広島市西区)
蓮舫代表は、夕方には広島市西区での街頭演説会に参加。与党がTPP、いわゆる年金カット法、カジノ法を相次いで強行採決で成立させた臨時国会を「申し訳なさと悔しさをかみしめた国会だった」と振り返り、「皆さんに近い政治、皆さんの声を感じる政治を行いたいというのが民進党の原点だ」「今はまだゾウに立ち向かうアリかもしれないが、皆さんの声を確実に政治に届けるために誠実に、謙虚に挑戦する姿勢を持ち続けていきたい」と表明し、民進党への支援を呼びかけた。
松本総支部長は、いわゆる年金カット法案をめぐり、年金財政が厳しい中での年金給付額の抑制には一定の理解を示したうえで、政府が2014年10月にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率を見直して以降約8兆円の運用損を出しているとして、「年金給付額50兆円の1%カットで5千億円。年金給付の抑制額の16年分もの損失をもたらしている」と問題視。厚生年金の保険料が2004年から13年連続で上がり続けていることにも触れ、「値上げ幅を足し合わせると30兆円を超えるが、その約4分の1の8兆円が運用損で吹っ飛んでいる。これでは年金不安や不信、将来への不安は断ち切れない」と指摘、「私たちは真面目に働く人、生活者を代弁するもう一つの選択肢でありたい」と力を込めた。
※「農業女子プロジェクト」は、女性農業者が日々の生活や仕事、自然との関わりの中で培った知恵をさまざまな企業の技術・ノウハウと結びつけ、新たな商品やサービスを生み出し、農業で活躍する女性の姿を広く社会に発信するプロジェクト。