代表選挙3日目の4日午後、代表選挙管理委員会(神本美恵子委員長)主催の九州ブロック候補者集会を福岡県久留米市内で開催し、前原誠司、玉木雄一郎、蓮舫各候補が約500人の党員・サポーターらを前に自らの所信を表明するとともに、ゲストスピーカーの発言や会場からの質問に対しそれぞれ見解を述べ、目指すべき新たな民進党のあり方などを熱く訴えた。司会進行は代表選管委員の石上俊雄、吉川沙織両参院議員が務めた。
ゲストスピーカーとして登壇した久留米大学経済学部名誉教授の駄田井正(だたい・ただし)、マーケティングプロデューサーの平岡豊(ひらおか・しげる)両氏は、「少子高齢社会が進むなか介護現場で働く人が減少し、負担が重くなっている。介護の生産性を高めることが必要」、「農業を核に地域全体を活性化させるため『地域内多機能連携型高度6次産業』を打ち出し、そのための推進人材の育成をしてほしい」とそれぞれ問題提起。平岡氏は、昭和の終わり頃から提唱されていた6次産業化に着目しクローズアップしたのは旧民主党政権だとして、「言いだしたのはうちだと、もっとアピールしてもいいのではないか」とも述べた。
会場からは、「人口減少問題について、都市部では結婚しない、子どもを生まないことによるものだが、九州では子どもをたくさん生んでも地域に子どもが残れないという現状がある。今後、そうした視点での取り組みをお願いしたい」「憲法9条をどう考えるか」「野党共闘をどう考えるか」「党内をどのように統制していくか」といった提案、質問が出た。党女性議員ネットワークからは各候補者に公開質問状が手渡された。
最後に、前原候補は「参院選挙では九州も厳しかったが、近畿ブロックで当選したのはたった1人。大阪、兵庫、奈良、滋賀では2期12年務めた現職が全員落ちた。民進党は本当に崖っぷちだ。しかし大事なのは、成長ばかりを重視し、人を歯車のように使う安倍政権を変えなければいけないということ。経済成長は目的ではなく手段だ。人が安心して、生きがいを持ち、安心して暮らしていける、その手段として経済成長をさせていく政治をつくらなければ日本はおかしくなる。私は23年間の国会議員のすべてをかけ、必ず次の衆院選挙で政権を取るために全身全霊で取り組んでいく」と語った。
玉木候補は「リオオリンピックの男子400メートルリレーで日本は9秒台で走る選手、(100メートル走で)決勝に残った選手は1人もいないのに、4人で走ると世界で2位になった。これですよ。バトンリレーの上手さ、チームワークの良さ、支え合い助け合い育み合う力。これを新しいに民進党の文化にして根付かせる。一人ひとり素晴らしい自治体議員の皆さん、党員・サポーターの皆さんがいる。この力を合わせ、それぞれの人が持っている以上の力になるような組織に変えていきたい。そして、一人ひとりの力以上に大きな力を発揮できる日本をリーダーとして率いていく」と表明した。
蓮舫候補は「ここに立てているのが民進党の多様性ではないか。まだ12年しか政治経験のない私や、与党時代に初当選した玉木さんが、前原さんとともに党員・サポーターの皆さんに政策、思い(を訴え)、皆さんの質問を聞ける機会を明るい雰囲気で持てるようにようやくなった。巨大与党としっかりと戦える政党、戦える代表に(なる)。道はものすごく険しいが、その険しい道を登る苦しさ、苦難、険しさ、全部知っている私たちがここで覚悟を述べた。選ばれたらみんなで一致をして民進党のためではなく、皆さんと皆さんの将来のための政治をしっかりできる、選んでいただける政党をつくりたい」などと決意を述べた。
前原、玉木、蓮舫各候補は、集会に加え共同記者会見や街頭演説を行った。
この日の集会では10月の衆院補欠選挙の公認候補である新井富美子衆院福岡6区総支部長もあいさつ。「これからの日本と民進党が目指す方向性を聞かせていただき、今から新しい民進党が始まると思うと心がワクワクしている。私はこの民進党に共感し、(民進党が)目指す社会をつくっていきたいと思い公募に応募した。先陣を切って私が10月の選挙を戦うと思うと非常に責任が重く足が震える思いだが、今日の3人の決意と覚悟を聞いて『頑張ろう』という勇気が湧いた。全力で戦っていく」と決意を表明した。